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留袖にまつわる母と娘の愛情のこもった体験談をご紹介する留袖レンタル物語をご紹介いたします

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私の留袖レンタル物語

第33回|やっと見つけた居場所

福原 冴子(仮名【60歳 奈良県】

待望の女の子を授かり……

 先月、4男が結婚しました。うちは、今時は珍しくなった5人兄弟です。私は女の子が欲しかったのですが、男の子ばっかり3人が生まれ、それが運命かなと思っていました。
 4人目を妊娠したとわかった時、これを最後にしようという思いで出産を決めました。すると、4回目の妊娠は双子だということがわかったのです。ですが、性別は正確にはわからない状態でした。
 そして……いざ出産してみると、なんと念願の女の子が産まれたのでした。私は嬉しくて娘に夢中になり、すっかり、一緒に生まれたもう一人の男の子の気持ちをないがしろにしてしまっていました。

4男は「空気のような存在」!?

 そのことに気付いたのは、4男が小学6年生の時に書いた作文を読んだ時でした。
 『将来のゆめ』という題に対して「僕は、普段から空気みたいな存在なので、立派な仕事をして人に必要とされる人になりたいです」と綴られていました。
 私は「?」となりました。4男の存在感がうすいなど考えたことなどなかったからです。双子ということもあり、できるだけ平等に育ててきたつもりでした。
 しかし、よくよく考えてみると、服も持ち物も、4男はお兄ちゃん達からのお古がほとんどで、娘は新品のものばかりでした。それに、男の子たちはまとめて兄弟で遊ばせることが多く、娘は女の子なので私といることが多かった気がします。
 ひとつひとつは些細なことだったかもしれませんが、4男にとってはずっと「大切にされていない」感じがあったのかもしれません。
 それからは「あなたが大事」ということを伝えるようにしたのですが、中学に入って男女を意識する年頃になり、思春期の息子はどんどん離れていってしまいました。
 唯一の救いは、兄弟間で仲が良く、親に相談できないときは、兄たちが悩みを訊いている様子だったことでした。

 社会人になって家を出てからは、一番連絡が取りづらく、私はすっかり愛想をつかされたのだと思っていました。
 だから結婚が決まった後、3男から
 「母さん、あいつホントにマザコンなんだよ。嫁さんがどれだけ母さんに似てるかを、ずっとしゃべっていたよ」
 と聞かされたときは、信じられない気持ちでした。少なくとも私からみると、お嫁さんは私なんかよりずっと魅力的な人に思えたからです。
 とにかく4男が自分だけの居場所を見つけることができて、本当に心から安心しました。

自分だけの居場所を見つけて

 ふたりの結婚式は、知り合いのレストランを借り切って、アットホームな感じで行われました。「あんまりちゃんとしなくていいよ」
 と言っていたのですが、やはり結婚式なのでちゃんとしたいと思い、留袖を着ました。
 我が家は、着物とは全く縁のない家でしたので、5兄弟の結婚式での黒留袖は全部お借りしました。
 最初に長男が結婚した時には親戚から借りたのですが、事前に借りに行って、終わったらクリーニングに出して、返しに行って……と手間がかかる上、気も遣うので、結構負担になりました。
 そこで次男の時に、試しにレンタル衣装を使ってみようとお世話になったのが「和匠」さんでした。
 ネットで申し込んだら宅配で届き、式が終了したら、送り返せばいいだけ。簡単で、妙な気遣いもいらず、言うことありませんでした。その時々に好きな柄が選べますしね。品質もとても良く、しっかりとちょうどいいくらいに重みがあり、着心地も良いものでした。
 それ以来、残りの3人の時もお世話になろうと決めていました。ついでにお父さんのモーニングも借りられますしね。今回は少し若ぶって「40代の方におすすめ」の中から選んでしまいました(笑)。

 4男は、家庭を持つことでやっと自分が主役になれる居場所を見つけたのだと思います。これからは、健康に気をつけ、守り守られる場所として、大切にしていってほしいと思います。

留袖レンタル物語の目次(全47回)