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留袖にまつわる母と娘の愛情のこもった体験談をご紹介する留袖レンタル物語をご紹介いたします

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私の留袖レンタル物語

第34回|私たち夫婦にできたわがままな子供たちもすっかり大人に!

泉 ミイ子(仮名)さん【58歳・自営業・滋賀県】

嫁ぎ先で待っていた介護と恵まれた子宝

 滋賀県に住むオバちゃんです。夫とともに無我夢中で自営で仕事をしてきて今にいたります。
 私は嫁いだ時点で仕事の他におばあちゃんの介護があったんですよ。それで、まだ子供もいないというのに毎日が戦争でしたね。何度実家に逃げ帰ろうと思ったか分かりません。
 でも、私は継っ子なんです。その継母が斡旋してくれた嫁ぎ先、と思うと怖くて……。逃げるのに丁度いい具合にブレーキがかかっていたのだと思います。

 やがて娘を出産。1年後には息子も生まれました。子はかすがい、とはよく言ったものですね。  例えば私は歌手の五木ひろしさんが大好きなのですが、夫と一緒に黙々と仕事に取り組んでいても、奥から子供たちがおぼつかない発音で、
「おかあしゃ~ん!いちゅきひろちテエビ出てる~!」
 なんて叫んでくるんですよ。もう、行かない訳にはいかないじゃないですか。どれだけ忙しくても、私は必ず「どれどれっ?」と畳の間のテレビを見に行くようにしていました。
 そうして五木さんをテレビで拝見して、「五木ひろしカッコイイねえ、二人ともありがとう!」というと子供たちは心底嬉しそうだったのを今でもよく覚えています。
 だけどそこで良くも悪くも知恵をつけるのが子供というもの。子供たちは次第に、ただ単に私に来てほしい時、甘えたい時などに、
「いちゅきひろち~!!いちゅきひろち~!!」なんて叫ぶようになったんですよ。
 夫からは芸能人相手のくだらないヤキモチも手伝って、「行くなよ!」なんていわれる始末。ついに我が家に五木ひろし禁止令が敢行された時は子供との絆まで裂かれた気がして悔しかったですねえ。

思春期も無事乗り越えて

 そんな娘と息子も中学生になると、それぞれの部屋が欲しいというようになりました。
お互い、異性のきょうだいとして、同じ部屋を共有することに違和感を覚えたようでした。
 でも、私のしつけが功を奏したのでしょうかねえ(笑)。二人とも思いやりがあり、あまり丈夫でない体にムチ打って働いている私のことをいつも気遣ってくれる、素晴らしい若者に成長しました。

 二人には、夫がエアコン付のプレハブをそれぞれ庭に建ててくれました。
 今思えばいくらプレハブとはいえ、一軒家を持たせるなんて、贅沢すぎましたね。二人ともみるみるうちに我がままになってしまいました。
 今まで一生懸命してきた子育てを覆された気分でしたね。
 でも、どんなにわがままを言っても、所詮は子供の言うことなんですよ。今思えば微笑ましい出来事も、当時は真剣に悩んでいました。
 一番困ったのが、制服を改造したり、模造変形制服を着たりして学校に行くようになったことですね。それはもう、私たち大人から見れば、
「変な服! 変な着こなし!」
 という感じでしたが、本人たちは図に乗っているので、まったく気にしないどころか、むしろ鼻を高くしているようでした。その頃の主人との口ぐせは、
「制服を脱ぐと二人とも可愛いのになあ」
 といった感じで、変形学生服を着るという、その自分勝手な我がまま以外は何事もなかったんですよ。

そんな二人のプレハブが空き家になるのは思っていたよりずっと早く・・・

 これはさすがにさびしかったですね。でも、花嫁修業にいそしむ娘は見るからに輝いていました。
 同じく結婚が決まった息子も、式が済んだら同居してくれるといってくれたんですよ。そんな私は、ゴミ捨て場での恒例の井戸端会議で、「和匠」さんのことを知ったのです。
 おもに留袖レンタルなどやっているということで、さらによく聞くと、夫の燕尾服もレンタルできるということでした。着用した後のクリーニングもいらない、というところにひかれて、迷わず「和匠」さんにお世話になることにしました。
 双子の様に仲の良かった娘と息子は、もうすぐそろって結婚式を迎えます。私たちは、結婚式に伴う嬉しい出費に悲鳴を挙げています。

留袖レンタル物語の目次(全47回)