第3回|歳の差5歳の母娘物語
波田 陽子(仮名)さん【3歳・主婦・静岡県】
33歳にして28歳の娘を持った私
今年34歳になる、静岡県在住のちょっと変わった主婦です。
一体どこが変わっているかというと、33歳にして28歳の子持ち、というところです。
主人が子連れ再婚のためなんです。
ちなみに主人は55歳になります。
ちょっと、あんまりないケースでしょ?
結婚当初はみんなが「上手くいくわけない」と口をそろえて言いました。
だけど、その人たち、残念でした~! 私たちは夫婦としても、母娘としても、
そして家族としても、とっても上手くいってますからご安心ください!
特に娘とはもう友達親子として大の仲良しです。
服の貸し借りなんか当たり前で、メイク用品の交換なんかも、もうキャーキャーはしゃぎながらお互いのどちらかの部屋で2人女子会やってるんですよ。ええ、娘が嫁いだ今でも。しょっちゅう帰省して来るものでね。
この娘を嫁にやるときが辛かったんです。
本当に仲良く過ごしていましたから、自分が真っ二つに引きちぎられるような気がして……。
ところで、私は着物を持たず嫁いだんですね。
将来必要になればその時は何とかなるさ、って感じだったんですよ。
しかし、まさかこんなに早急に留袖が必要になるとは思ってもみませんでした。
あわてていたところ、娘に留袖レンタルサービスを勧められたんです。
全く、これじゃあ母娘逆転ですね。
だけど、実際に詳しくお店の人に聞いてみればみるほど、留袖レンタルサービスは合理的で勝手がいいことが分かり、
即、利用を決めました。
この留袖レンタルサービスというシステムは、本当に全て手配してくれるので、
着物にあまり詳しくない私でも感心してしまったくらいです。
クリーニングまでセットになってるんですよ。
そうして挑んだ結婚式では、黒留袖を着て座っている私の存在に驚いてる人が多数でした。
微笑みをたたえてくれる人もいれば、中には好奇のまなざしで私を上から下までしげしげ面白そうに眺めてくる人もいましたね。
思わぬ注目を受けていることに動揺を隠せない私に、娘が小声で、
「陽ママ、大丈夫だよ。堂々としてればいいんだよ」
と私を気遣ってくれました。
55歳の主人より、よっぽど頼りになったくらいです。
本当に、自慢の愛娘ですよ。
娘の夫となる新郎に軽く嫉妬を覚えました。
新婦スピーチは母である私個人へあてたもので、
「陽ママへ」
と始まった時は、
(あっ、あたしかい!!)
と、あせって、つばをのどにひっかけ、大きくむせかえってしまったものです。
娘のスピーチの内容をかいつまんで言うと、
「パパみたいなおじさんのお嫁さんになってくれてありがとう。陽ママの存在は波田家に光をもたらしてくれたよ。
これからも私の優しいお母さんでいてね」
といったような、私をほめたたえ、母親として認める内容で、不覚にも私は泣いてしまいました。
その時にうっかりして留袖の袖口で涙を拭いてしまい、涙シミをつけてしまったのですが、
留袖レンタルのスタッフさんには全く怒られなかった、とは後日談です。
結婚式を終えて分かった色々な事
ところで、娘たちと選んだ結婚式の引き出物の評判がすごく良かったそうです。
私達静岡県民は、郷土愛・地元愛が強く、お茶の産地静岡県を誇りに思ってるんです。
だから結婚式の引き出物は、お茶であることが多いんですね。
でも、最近の若い人たちは、ちょっとひとひねりして、お茶を使ったクッキーなどを選ぶことが多くて、
と引き出物係の人に聞いて、お茶クッキーをセレクト。
それに加えて、昔からの引き出物の伝統、かつおぶしをセットにしたんですよ。
この組み合わせが式に来ていた老若男女に、オールマイティーにウケたそうなんです。
この話を聞いたときは嬉しかったですね。
留袖も後片づけが一切いらなかったし、本音はこれが一番ほっとしたところ、と言ってもいいくらいです。
娘よ、私たち夫婦の様に掛け値なしで仲の良い家庭を築いてね。
おばあちゃんになれる日を楽しみに待ってるよ。