第26回|「時には素直に」
大村 由香子(仮名)【(57歳・神奈川県在住)】
少子化解消にすごく貢献している家族です
うちには5人の子どもたちがいますが、今回、3番目が結婚します。
今のところ順調に年齢順に結婚式をしてくれていて、私としてはホッとしています。
24歳で長女を出産してから、女、男、女、男、女とまるで冗談かのような順番で、しかもキレイに3歳ずつ年が離れている子どもたち。
事実は小説より奇なりとはよく言ったもので、計画出産をしても、ここまでうまくいかないんじゃないかと思っています。
ただ長女と末娘には12歳も年齢差があり(現在33歳と21歳)、同じ家に育っていても、ちょっとしたジェネレーションギャップがある様子です。
真ん中は、その中でずっと兄弟姉妹の間を取り持つような役割をしてきました。
だからといって、旦那さんになるひとがちょうど一回り年上だと聞かされたときは、お父さんと一緒に「えーーーーーっ」と低い声を出してしまいましたが。
何も、そこに落ち着かなくていいでしょう……と。
でも、考えてみれば普段からみんなの顔色を見て、いろいろと調整を行っていた真ん中なので、12歳年上のひととでも話題に困らず話せたでしょうし、それくらい年上の方が安心できたのかも知れません。
そしてこれは、彼には言っていませんが、もしかしたら独り占めできなかったお父さんを彼に重ねているのかもしれません。
雰囲気がちょっと、若いときのお父さんに似ている気がするんです。
うちの親せきは、とにかく子どもが多く、私自身は4人兄弟ですし、主人は3人兄弟で、それぞれに3人、3人、5人(うち)と子どもがいます。
友人には、「この子たちが全員結婚して、また3~4人子どもを作れば、少子化解消にものすごく貢献できるね」と言われるのですが、育てている方としては密かに、5人とも無事に大きくなってくれれば、1人くらい結婚しなくてうちにいてもいいんじゃないか……と思っています。
初めて留袖をレンタルしたのですがその便利さに唖然としました
というのも、結婚式が毎週あったのですが、そのひとつが大雨で留袖がとても汚れてしまったんです。
クリーニングに出したのですが、「10日くらいかかります」と言われてしまいました。
まぁドレスでもいいかとも思ったんですが、他の親せきと差をつけるわけにいかないかなぁと思い直して。
期日が迫っていたので心配だったのですが、娘がネットで簡単に見つけて注文してくれ、余裕で間に合いました。
レンタルの留袖を着た日も大雨だったので、お返しするとき、気が引けたのでお電話したのですが、とても快く「大丈夫ですよ」と言っていただけ、ありがたいなぁと思いました。
娘には、絶対に天候の良さそうな日程にしなさいと言っています。
彼女は、とにかく真ん中の子どもということで、いつの間にか大きくなっていた……という感じで、手がかかった覚えもないし……叱った覚えもあまりありません。
しっかりしているというか落ち着いているというか、上のふたりを見て失敗を学び、下のふたりの世話を甲斐甲斐しくやく、頼りがいのある娘です。
一度だけ、確かあの子が小学3年生のときに、二人きりで出かけました。
いつもは家族でワイワイしているので、とても珍しいことでした。
特別どこかに行ったわけではなく、近所のデパートで買い物して、食事して、ゲームなどをして遊びました。
あの子は普段わりと冷静というか、他の兄弟たちがわぁわぁやっているのを「やめなさいよ」という方なのですが、その日はえらくはしゃいでいて、何をやってもニコニコでした。
普段は、「もうちっちゃい子じゃないから」と言って、手をつなぐこともなかったのですが、そっと手を回してきて、ずっとつないでいました。
そんな様子を見て、『普段は我慢をさせていたんだなぁ。
すまないな』と思ったのをよく覚えています。
だから心から存分に甘えられるひとができて、本当に嬉しく思います。
結婚したら旦那さんの財布のひもと胃袋をしっかりつかんで、私に負けず野球チームができるくらい、孫を産んでほしいと思います。
旦那さんが年上なので、将来先立たれて(縁起でもないか)、さみしいかもしれないけど、子どもが多ければ、大丈夫だと思うので。
女の方が寿命は長いんだから、旦那さんや子供に尽くすだけじゃなくて、自分の人生も大切にしてほしいと思います。
まぁ、いろんなことの調整がうまいあの子なら、きっとうまくやれるでしょうけど。